北アルプス縦走2004.8.2



2004年8月2日〜8日

元々大好きだった渓流釣り。この趣味に登山という大きなアクセントをくれたT地さん。
日本に帰国して2年目の夏、再びT地さんとご一緒することになりました。
この年から、毎年の夏山登山が恒例行事となりました。

今回は大学院での久しぶりの学生と言う立場をフルにつかって1週間にも及ぶ大縦走を行うことになりました。
今回のメンバーは、全行程を共にするN隊員、槍ヶ岳までのS岩隊員、雲ノ平で合流したT地さんです。

8月2日(月)
武蔵小山→新宿→松本→新島々→上高地→横尾

前日から我が家へ泊まっているN隊員とともに集合場所の新宿駅へ向かう。
いい天気だ。この先1週間大きな崩れはなさそうだ。
松本、新島々を経由してお昼過ぎには上高地についた。ここで、登山届けを提出し、お昼をとった。
さあ出発だ。まずは河童橋で記念撮影。


明神池、徳沢を快調に予定通り通過。
 

横尾まであと500mくらいのところを歩いていると、右側の藪で何かが動いているような・・・。熊だ!!
日本で野生の熊を見るのは初めてだ。シエラネバダで何度か見たグリスリーと比べるとなんて小さいんだろう。
 真ん中の草の陰にいます

今日は3時間の歩きで横尾到着。山小屋でビールを購入してまずは乾杯。
夕食はタラコスパ。
 

8月3日(火)
横尾→槍沢→殺生ヒュッテ幕営場
今日はひたすら登りです。N隊員は高山病にかかりやすい体質のようなので、時間もあることだしマイペースでいきましょう。
 

天狗原分岐辺りからの図です。


振り返ると結構登ってきたことが実感できます。


もう直ぐ今日の幕営地の殺生ヒュッテです。明日登る槍ヶ岳が天に向かって聳え立つ雄姿を見ながらの気持ちのいい登山です。


8月4日(水)
殺生ヒュッテ→槍ヶ岳→西鎌尾根→双六小屋(幕営)
4時に起きて朝食をとり5時に行動開始。
昨日までの晴天はどこへ行ったんだ。早めに上がった方がよさそうだ。
槍ヶ岳頂上からはかろうじて周りの峰々を見ることが出来た。


頂上には団体さんが入ってきて狭くなったし、雲行きが怪しいので先を急ぐことにした。
槍の肩まで降りた所で、日程が取れずに上高地へ下山するS岩隊員とはお別れだ。
西鎌尾根を下りながら振り返るとガスに包まれ霞む槍を見ることが出来た。


しかし2時間も歩くと先程までのガスがす〜と晴れてきた。やはり日頃の行いであろうか(そんなに素行が良いとは思わないが・・・)。
 硫黄岳方面

振り返るといつまでも槍が見える。
ところで、おどろいたことに樅沢岳付近では携帯電話が通じたのである。ということで、ここで自宅と明後日合流予定のT地さんに連絡を入れておく。
 

予定より早く双六小屋に着いたので、テントを設営して荷物をデポした後にサブザックを担いで双六岳を詰めておくことにする。これで明日は巻き道経由で時間短縮が出来そうだ。

8月5日(木)
双六小屋→三俣蓮華岳→鷲羽岳→祖父岳→雲ノ平
昨日の夜は、日本の南海上を台風がかすめて行き、我々のテントも結構揺さぶられた。しっかりピン、ペグを打ち込んでおいて正解であった。近所の何処かの女子大学生のグループは夜中にフライシートが飛ばされて大騒ぎをしていた。


4日目に入り疲れが蓄積してきたN隊員と三俣山荘で一旦別れて、筆者は鷲羽岳経由でN隊員は黒部源流経由の巻き道で進むことにした。落ち合う場所は岩苔乗越である。
 黒部川源流の碑(N隊員より)

予定より1時間ほど遅れて雲ノ平のテン場に到着。夕食の準備をしていると小雨が降ってきた。

8月6日(金)
雲ノ平→薬師沢小屋
今日は薬師沢までの3時間半という短い行程だ。ゆっくり出ればT地さんも追いついてくだろう。
そろそろ疲れも溜まった我々はそんな理由にかこつけて7時過ぎまで寝てしまう有様であった。
8時なりだらだらとテントを片付けていると、我々を呼ぶ声がする。
T地さんの登場だ。
時間もあるという事で、ゆっくり雲ノ平の散策をしながら薬師沢に向かうことにする。
 



雲平から薬師沢への下りは膝にきた。上高地を出て既に5日目である。
しかし、辛い下りを終えて川の流れを見たとたん、私の頭の中のアドレナリンが暴走状態となった。
薬師沢小屋での宿泊手続きをし荷物を置いたら早速釣りである。
本日がフライフィッシング初挑戦のN隊員、私と同様にアドレナリン漬けとなっている(であろう)T地さんとともに薬師沢出合の河原に降り立った。
そこには、黒部の岩魚が悠然と泳いでいるではないか。
まあ、山小屋のすぐ下といった通常ならば魚もスレきっているであろうこの場所で、N隊員の練習がてらの一振りに「パシャッ!」。
なんと、食いついてきたのである。これはいい。
続いてN隊員は、その向こうに泳いでいる岩魚の鼻先にフライをポトン。
すると、またまたヒット!
すばらしい! 釣り人の楽園である。
 

夕食後は山小屋のお兄さんから薬師沢の釣りの話、更にはニュージーランドでの釣りの話などを聞き楽しい時間を過ごさせていただいた。

8月7日(土)
終日釣り
山小屋のお兄さんから午前中はあまり釣りにならないと聞いていたのだが、昨日のイメージが抜けていない我々は、朝食をとると早々に出かけたのであった。
しかし、はたしてお兄さんの言ったとおりで、10時過ぎるまではまったくと言っていいほど当たりがなかった。
その後は、昨日同様岩魚天国のはじまりである。
 

そして、夕食後にそれはやってきた。
明日にはこの沢を発たなければないらない我々は、夕食後の短い時間ももったいないということで釣りに出かけたのである。
そして、である。
釣れる、釣れる。フライを投げればどこからでも(それはちょっと大げさではあるが)正にそういった勢いで釣れるのである。
まるで、ヨセミテのリターンクリークである。
日が暮れて、フライが見えなくなるまで釣りまくったのは言うまでもない(全てリリース)。

8月8日(日)
薬師沢→太郎平→折立→富山→東京
1週間とは過ぎてしまえば短いものである。
今日は現実の世界に戻る日である。
背中に積んであった食料も大半を消費したためにザックが軽い。自然と足取りも軽くなる。
美しい朝もやの中、太郎平へ向かう。
 

太郎平からは眼下に富山平野が見渡せる。久しぶりの文明の香りだ。
1週間に及ぶ大山行もこれで終了。誰にも怪我もなく楽しい思い出を作ることが出来た。
またいつか、ゆっくりと薬師沢を訪れて見たいものである。


写真集はこちら

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今回の縦走計画                                                      釣りと登山